sabumasaさん おすすめの映画です。さりげなく現在進行形の政治問題と絡めた解説も素晴らしくて、感謝感謝です。続編もあるそうですので乞うご期待\(^∇^)/
『BPM ビート・パー・ミニット』
HIVが死に至る病気だった時代、90年代前半のパリ。
エイズ患者の権利を守るために活動するアクティビスト団体アクトアップ(実在する団体です)に加入したナタンは、中心メンバーであるショーンに恋をします。政府や製薬会社などに対する活動は時に過激で刺激に満ちていましたが、彼らの多くはHIV患者でもあり時間がないのです。メンバーが増えては去っていく中で、ショーンの体にも変化が起こります。
社会派でありながら鮮烈で力強い青春映画でもあり、生と死を真っ向から描く、近年観た中で一番好きな映画でもあります。
ちなみに、”ACT UP”とは「派手にやろうぜ」という意味。何度も観てきた映画ですが、入管法改正案採決を巡る日々の中で初めてその意味を知りました。活動とは楽しく、クールでなければ…そんなことも教えてくれる作品です。
※注意※ ”生”を象徴的に表す描写としてベッドシーンが出てきます。結構激しいので、苦手な方は避けた方がいい作品かもしれません。
『パブリック 図書館の奇跡』
シンシナティにある公共図書館。大寒波が訪れたある日、行き場のない常連ホームレスが「今夜は帰らない。ここを占拠する」と宣言。そこで働くスチュアートは、悩んだ結果彼らと行動を共にすることを決意します。それは、緊急シェルターの代わりの避難所を求める平和的なデモでしたが、市長選に出馬しイメージアップを企む検察官や事態を煽情的に扱うメディアなどを巻き込みたちまち大騒動に発展してしまい…
日本国憲法第12条が定めるように、自由や権利とは私達が努力して守っていくものであると痛感させられる昨今ですが、ホームレス達の悲しみやささやかな願いを体現する言葉の数々は、思わず拳を握りしめうんうんと頷きたくなるものばかりです。
※補足※ 映画公開当時、Choose Life Projectでこの映画を切り口に<公共の場所>をテーマにした番組が配信されてました。これもおススメです!
『やさしい本泥棒』
第二次大戦前、訳あってミュンヘンの老夫婦のもとに里子に出されたリーゼル。養父ハンスに読み書き教わりながら、本の世界に没頭していきます。しかし戦争を迎え、時代はヒトラー独裁体制のもと、 ユダヤ人だけでなく教育や様々な芸術までもが国家の独自性の名のもとに弾圧の対象となっていました。そんな時、ひとりのユダヤ人青年マックスがハンスを頼って家を訪ねてきます。こうしてリーゼルと文学青年であるマックスとの秘密の交流が始まります。
本を通じて、自分の世界が広がっていくことの喜びを奇をてらわずまっすぐに描いた大好きな作品で、本についての作品だけに読書好きな方にはたまらない映画だと思います。
原作は、世界各国で1600万部を売り上げたベストセラー「本泥棒」です。
『バジュランギおじさんと、小さな迷子』
インドに暮らす敬虔なヒンドゥー教徒のパワンは、声の出せない少女と出会い家で預かることにします。しかし、彼女は一緒に訪れた先のインドで母親とはぐれてしまった、隣国パキスタンのイスラム教徒でした。インドとパキスタンには長い対立の歴史があり、気軽に行き来などできません。パワンはパスポートもビザもないのに少女のために国境を越えることを決意しますが…
友情ドラマ、ロードムービーなど様々な顔を持つ映画ですが、<隣人愛><人間愛>を真っすぐに描いているのが大きな魅力です。パワンは人はいいのですがかなりの偏狭者。その彼が少女との旅や様々な出会いを通じて何を学ぶのか…
ボリウッド大作らしく、歌あり踊りあり笑いありの賑やかな映画ですが、本当に素晴らしく号泣必至です。
『わたしは、ダニエル・ブレイク』
イギリス・ニューカッスルでひとりで暮らす大工のダニエルは、心臓を患い医師から仕事を止められます。国の補助制度を利用して援助を受けようとしますが、複雑すぎる仕組みが立ちふさがりどうしても援助にたどりつけません。そんなある日、ダニエルはシングルマザーのケイティと幼い子供たちを助けたことから交流が始まります。彼らは社会の片隅で寄り添い合いながら懸命に生きていこうとしますが…
イギリスの名匠ケン・ローチ監督が、”今、どうしても伝えたい物語がある”と引退宣言を撤回して作られた2016年の作品ですが、私は先日初めてこの映画を観まして、今出会えてよかったと思いました。コロナ禍でみるみる顕在化した社会構造のひずみ、自己責任とは、福祉とは、そして人間の尊厳とは…という様々な疑問が激しい怒りとともに観る者の心に突き刺さってきます。
この『わたしは、ダニエル・ブレイク』というタイトルは映画で登場する重要な一節です。とても悲しいけど、美しく、ずっと忘れられない作品になると思います。ケン・ローチ監督の新自由主義社会への痛烈な怒りは、次作『家族を想うとき』にも繋がっていきますが、これも大傑作です。
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